セロクエル(一般名クエチアピン)は、第二世代の抗精神病薬(非定型抗精神病薬)です。
多様な受容体に作用するため、MARTA(Multi-Acting Receptor-Targeted Antipsychotic:多元受容体標的化抗精神病薬)と呼ばれています。過剰なドパミンの働きを抑える働きがあるため、統合失調症の治療薬として開発されました。
幻聴や妄想といった陽性症状に対する効果はマイルドですが、陰性症状(意欲減退や感情鈍麻)や認知機能の改善に効果が期待されます。
さらにセロクエルは、気分の安定にも効果が期待できるお薬であることがわかっており、うつ病・うつ状態や双極性障害(躁うつ病)の治療薬として使われることがあります。セロクエルには鎮静作用が期待できるため、衝動コントロールや不眠にも使われることがあります。
セロクエルの作用の特徴として、ドパミン受容体への結合が緩やかで、すぐに受容体から離れ、ドパミンをブロックしすぎないため、ドパミン関連の副作用も軽減されています。
さらにセロクエルは、気分安定薬としての効果も期待されます。
抗躁効果:気分の高まり(気分の山)を鎮める
抗うつ効果:気分の落ち込みの改善
再発予防効果:気分の波(気分の山と谷の落差)を小さくする
また少量で、認知症の周辺症状であるBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms ofDementia)などにも使われることもあります。
<セロクエルのメリット>
陰性症状や認知機能の改善
副作用が比較的少なめ
気分安定作用
鎮静作用(不眠や不安時)
ジェネリックあり(リーズナブル)
<セロクエルのデメリット>
陽性症状に対する効果が不安定
体重増加や血糖値に注意(糖尿病患者には禁忌)
眠気やふらつきの副作用がある
<セロクエルの主な副作用>
傾眠(4.3%)
高血糖(3.3%)
便秘(1.9%)
肝機能障害(1.6%)
倦怠感(1.3%)
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