夏休みなどの長期間の休みに入ると、ゲームやインターネットの時間をめぐって、家庭では子供と親の論争が多くなる傾向です。
今日はネット依存・ゲーム依存について解説いたします。
<ネット依存の兆候>
使用時間がかなり長くなった
夜中まで続ける
朝起きられない
ほかのことに興味を示さない
絶えずゲームのことを気にする
注意すると激しく怒る
使用時間や内容などについてうそをつく
ネットにより成績や仕事のパフォーマンスが下がった
上記の症状が見られる場合にはネット依存が疑われます。さらにネット依存になると、体や心といった健康面や、家族や社会といった人間関係に問題が起こりえます。
<心身の健康問題>
低栄養
体力低下
骨密度低下
睡眠障害
情緒不安定
うつ状態(気分の落ち込み、焦燥感、集中力低下、無気力など)
<家族問題・社会問題>
家族関係の悪化
勤怠不良
遅刻 欠勤 早退 不登校 成績不振 中退・退学
体の問題では、ネットの過剰使用により栄養が偏った食生活を続けたりすることで栄養失調になることがあります。また、運動不足により体力低下、骨密度低下を来すことがあります。
心の問題では、昼夜逆転の生活による睡眠障害や、ネット環境がない場合にイライラしたり、無気力になったりすることがあります。更に、ネットでの過剰な課金によってうつ状態などの問題が生じることがあります。
家族的、社会的問題では、家族がネットを強制的にやめさせたり、注意をしたりすると暴言、暴力を振るうなどして、家族関係が悪化することがあります。また、学生の場合はネットを優先してしまい、遅刻、成績不振、不登校などになることがあります。中には退学しなければならなくなったケースもあります。
また世界では、中国で、日本よりも前にゲーム依存が社会問題になっています。
やる気や幸福感をもたらす「ドーパミン」という物質を受け取る「受容体」の感受性がゲームを長時間することにより大幅に低下していくことが、とある大学の研究結果から指摘されています。
メカニズムとしては以下の仮説があげられています。
ネットゲームをすると大量のドーパミンが放出され、これを受容体が受け取ると幸せな気分を感じる脳の回路が活性化し、ゲームが習慣になっていきます。
しかしゲームを長時間行って脳の中にドーパミンが大量にある状態が続くと、受容体の数が減ったり、感受性が低下したりします。
これはイメージ的には糖尿病の高血糖症状のインスリン感受性と類似しています。
ゲームを長時間すればするほど、受容体は減少し、さらにドーパミンを出し過ぎることにより、生産が追いつかず分泌も減ってきます。
最終的にはドーパミンを分泌する能力も受け取る能力も低下してしまい、やる気や幸福感を感じられない状態になってしまうのです。
ゲームによって幸せな気分になるはずが憂うつになり、人間の心にマイナスの働きをするようになる。これは覚せい剤などの薬物依存症と類似したメカニズムであると言えます。
ゲーム依存の人では、脳のエネルギーとなるブドウ糖の代謝が低下し、精神を安定させるセロトニンの受容体にも機能の低下が起きていることも示唆されています。
ゲーム依存から抜け出す方法は、精神科を早期に受診し、現在の心身の状態の客観的な評価と認知行動療法や行動療法等の適切な治療を早期に開始し、ゲームとの付き合い方やストレスとの向き合い方を見つめなおす必要があります。
ネット依存・ゲーム依存が疑われるケースでお悩みの方は銀座スピンクリニック 精神科 心療内科へ一度ご相談ください。
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