物事を人に伝えるというのは一見、簡単に思えますが、実は伝える側が「伝わった」と思い込んでいることも少なくありません。「暗黙の了解」を期待するのもわからなくはありませんが、うまく伝わらないことによる対応のミスは、部下のやる気を下げ、ひいては上司との信頼関係にも影響しかねません。
悪い例
課長:君、B社へ提出する例のあれをそろそろやっておいてくれよ。
部下:あ、あれですね。わかりました。(とは答えたけど、どんな内容だったっけ?)
(2日後)
課長:君、例のB社へ提出する新製品の提案書を見せてくれよ。
部下:え!ま、まだ出来上がっていません。
課長:困るよ。急いでくれよ。
部下:はい、すみません。急ぎます。(おととい、言ってたのはこのことだったのね。最初からはっきり言ってよ。まったく…)
これでは、この後の仕事がスムーズに進むか心配ですね。「例の」とか「あれ」とか「そろそろ」などは、お互いが勝手な解釈をしている危険性があります。できる限り5W1Hに基づいて伝えあい、確認しましょう。また、このような会話は周囲のメンバーにはさっぱりわからないこともあり、いざというときに誰もカバーできません。当事者だけでなく周囲のメンバーにも伝えておくことは、仕事を円滑に進めるための基本です。相手の名前を呼んでから話し始めることも忘れないように!
いい例
課長:〇〇さん、B社へ提出する新製品の提案書をそろそろやっておいてくれよ。
部下:はい、わかりました。WIP-1型の提案書ですね。いつまでに仕上げればよろしいですか。
課長:来週の火曜日には先方に提出しよう。〇〇さんに届けてほしいから、先方への連絡も含めて段取りしてくれよ。
部下:はい。
課長:念のため、途中で一度確認したいから、概要を今週木曜日頃に見せてくれる。
部下:はい、わかりました。すぐにでも着手したいところですが、いまC社との急ぎの調整案件抱えているので、木曜日の夕方になりますが、よろしいですか。
課長:ああ、いいよ。よろしく頼む。
このように業務内容や手順を詰めてからスタートすれば予定通り進み、結果も良好となるでしょう。ほんの数分の会話と手間が大きな力を発揮するのです。
銀座スピンクリニック
精神科 産業医
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